障害年金「眼の障害」の認定基準が改正されます ~過去に却下になった方でも対象となる場合があります~
公開
2022年1月1日から、障害年金「眼の障害」の障害認定基準が改正されます。これにより、今までは障害年金の認定基準に該当しなかった方でも、受給できる場合があります。また、現在2級または3級の障害年金を受けておられる方の中で、障害等級が上がり年金額が増額される場合があります。
以下の内容をお読みいただき、該当される方はお手続きをお願いします。
また、まだこの情報をご存じない方がたくさんおられます。周りの視覚障害者や支援者の方等、幅広い方にお伝えいただきますようお願いします。
1.改正の経緯
2018年7月に身体障害者手帳認定基準(視覚)が改正されました。これを受けて、障害年金も手帳認定基準改定の考え方に合わせた基準とすべきであると、日本視覚障害団体連合から厚生労働省に要望したことを機に、ほぼ準拠する内容で改正されることになりました。
2.改正のポイント
<視力障害>
○「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」による基準に変更されます。
<視野障害>
○これまではゴールドマン型視野計に基づく基準のみでしたが、現在広く普及している自動視野計に基づく基準も創設されました。いずれかで等級に該当すれば対象となります。
○これまで視野障害2級には、求心性視野狭窄や輪状暗転(りんじょうあんてん)という症状の限定があり、中心暗点や半盲の場合は対象外とされることがありましたが、今回の改正では、これら症状の限定をやめ、測定数値により障害等級を認定するよう変更されました。
これによって、求心性視野障害等でないことを理由に却下や3級認定になっていた方は、新たに対象となったり、等級が上がる場合があります。
○1級・3級の認定基準が設定されました。
これまでは、視力が一定程度以上あると、極端に視野が狭くても1級になることはありませんでした。今回の改正では、視野障害の1級が設けられました。
3.申請手続きについて
(1)現在障害年金2・3級を受給されている方
11月上旬ごろに日本年金機構より郵便で認定基準改定のお知らせが送られていますが、内容を補足させていただきます。眼の障害で2級または3級の障害年金を受給中の方は、現在より上位等級の認定基準に該当すれば額改定請求により障害年金額が増額となる場合があります。
ただし、現在3級の障害年金を受けている65歳以上の方で過去に1級または2級の障害年金に該当したことがない方は、額改定請求ができませんのでご注意ください。
該当するかわからない方は、まずは、かかりつけの眼科で「4.改正後の認定基準の詳細」に該当するかお尋ねください。上位等級に該当する可能性がある場合は、2022年1月1日以降に額改定請求の手続きをしてください。等級が変更される場合は、請求月の翌月分から障害年金額が増額となります。
なお、視機能の改善がない限り、今回の改正によって、現在の障害等級が下がることはありません。
【問合せ・請求】
ねんきんダイヤル(0570-05-1165)、もしくはお近くの年金事務所、街角の年金相談センターへお問い合わせください。
※年金事務所と一部の街角の年金相談センターは、相談予約が必要です。
(2)現在障害年金を受給していない方
これまでの認定基準では年金等級に非該当だった方や、求心性視野狭窄でないなどの理由で却下された方でも新しい認定基準に該当すれば障害年金受給の可能性があります。手続きの翌月分からの支給になりますのでお早めにご相談ください。
なお、障害年金の受給には、障害の認定基準該当の他に、年金保険料納付状況など他の要件があります。
4.改正後の認定基準の詳細
①視力障害
○1級
視力の良い方の眼の視力が0.03以下のもの
視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
○2級
視力の良い方の眼の視力が0.07以下のもの
視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
○3級
視力の良い方の眼の視力が0.1以下のもの
〇障害手当金(治癒していないものは3級)
視力の良い方の眼の視力が0.6以下のもの
一眼の視力が0.1以下のもの
②視野障害
◎自動視野計に基づく認定基準
〇1級
両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
〇2級
両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
〇3級
両眼開放視認点数が70点以下のもの
〇障害手当金 (治癒していないものは3級)
両眼開放視認点数が100点以下のもの
両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
◎ゴールドマン型視野計に基づく認定基準
〇1 級
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ
Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
〇2 級
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ
Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5 度以内におさまるもの (中心5度と同程度の面積であるもの)
※中心10度以内にⅠ/4が存在しない場合は80度以下とし、中心10度以内にⅠ/2が存在しない場合は0度とする。
〇3 級
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下のもの
〇障害手当金 (治癒していないものは3級)
Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
※京都ライトハウス通信No.168号の付録の予定原稿から抜粋しました。