今、地デジについて世間では様々な話題が飛び交っていますが、視覚障害者にとって必要な情報があまり知らされていないのが現状です。そこで前回から3回にわたって、私たち視覚障害者の視点で地デジに関する情報をお知らせしています。皆さんからもぜひ情報を京視協事務所までお寄せください。

 先月号では、テレビを買い換えなくても今のテレビのままで地デジを視聴できること、地デジになればどんなことができるのかなどについて掲載しました。今月号では、地デジを視聴するための具体的な方法をご紹介します。

1.デジタルチューナーを購入する(お手持ちのテレビをそのまま使い続けたい方)
先月号でお伝えしたように、お手持ちのアナログテレビにデジタルチューナーをつなげば、あまり費用をかけずに地デジを視聴することができます。もしチューナーをつないでみて、視聴できるはずの放送の映像にモザイクがかかったり、音声が出なかったりする場合、地デジの電波をうまく受信できていないことが考えられます。その場合は、アンテナ工事が必要になります(アンテナについて詳しくは、来月号でお伝えします)。尚、この方法では基本的に画質や音質はこれまでと変わりません。
2.新しくテレビを購入する
今後、視覚障害者にとってより使いやすいテレビが安く販売される可能性もあるので、画質や音質に特にこだわりがなければ、急いでテレビを買い替える必要はないと思われます。しかし、使用していたテレビが壊れた場合や、ご家族で話し合われてテレビを購入される方もおられるでしょう。
 先月号でお伝えしたように、健常者のご家族は使えても、私たち視覚障害者には使えない機能が多いのが現状です。そんな中で視覚障害者の間で人気があるのは、三菱電機の「REAL」シリーズの中で「しゃべるテレビ」という機能を備えた製品です。電気屋さんでもあまり知られていないのですが、地デジの特徴の一つである「八日分の番組表」(先月号参照)を合成音声で読み上げる機能があり、視覚障害者も自分で見たい番組を選ぶことができます。データ放送や双方向サービスについては読み上げないので、健常者の方と同様に使えるわけではありませんが、番組表を音声で読み上げてくれるのは今のところこの製品だけですので、購入される際の参考にしてください。
 尚、新しいテレビはリモコンでの操作が必要ですが、そのことについては、次号で解説します。
3.ケーブルテレビの利用
 既にケーブルテレビを利用されている方や、地デジの電波が入らない地域にお住まいの方にとっては選択肢の一つです。ただ、ケーブルテレビを長期にわたって契約すると、視聴料金がアンテナ工事の代金より高くなることが予想されますので、十分な検討が必要でしょう。
 特に、ケーブルテレビ会社によっては、ケーブルテレビの利用料金とともに、NHKの受信料を支払う「団体一括支払」の利用を勧められることがありますが、この場合NHK受信料の免除や減免の対象にならないことがあります。ケーブルテレビ会社独自の減免制度などもあり、ここで全てを記述することはできませんが、十分な検討が必要です。

 来月号では、その他の視聴方法やアンテナ工事・リモコンのことなど、地デジ視聴の際に知っておきたい情報をご紹介します。