「興味・心・深」第12回 白杖ガール対談企画②
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S | ドラマでは主人公がデイジーや拡大読書器を使用しています。用具類は使っていますか? |
M | 白杖、拡大読書器、PCトーカーは使用しています。大きいモニターやスキャナーも仕事面ではかなり使用していますね。 |
O | ルーペは日常的に使ってますね。白杖もカバンの中に入れていますし、PCは大きなモニターのものを使い、白黒反転にしたり、フォントサイズを大きくして見ています。 |
K | ドラマで主人公が友達とのやり取りに使うボイスメッセージは? |
M | わたしはあまり使わないですね。音声入力のほうが多いです。 |
S | 日常生活で困ることはありますか? |
M | あります。点字ブロックの上に物が置いてあったり。よく声をかけてもらえて本当に助かるんですが、急に服を引っ張られると怖いのでやめてほしいなーって思いますね。 |
O | 散歩してる犬とか、キャリーケース、子供とかは怖いですね。急に飛び出して来られると蹴っちゃいそうになります。バスや電車の中で床に置かれているカバンは気づけなくて困りますね。 |
M | 私の場合は自転車の後ろの赤い点滅ランプ。よく見えすぎてしまうから無意識にその方向へ歩いてしまうことがあります。 |
S | そろそろキュンな話にいこうと思います。Oさんは新婚さんですよね、おめでとうございます! |
O | ありがとうございます。同じ大学の視能訓練専攻に通っていた方です。 |
K | ドラマのようなキュン体験をしたことはありますか? |
M | ないない!!あんなのない!ドラマに太いマジックで大きく「恋」と書かれたラブレターが出てきましたけど、すごいですよね。普通はその発想までたどりつかないですよ。 |
S | 高校生活はどうでした? |
M | 見えにくいことは隠し通していましたね。本当は障害者手帳を取れたけど、自他共に認める視覚障害者になってしまうから絶対嫌だと思って。部活もやってたし、自分なりに目は見えていると思っていたので、そのまま生活していました。社会人になって、接客の仕事に就いたんですが、どんどん見え方が変わって、お客の動きが分からなくなっていきました。もう辞めようかなと思っていた時に、手帳があると失業保険を貰える期間が長くなるのを知って。その時にはまた社会に出る自信もなかったので、手帳を取ろうと決めました。24、25歳の頃です。等級が2級と言われて「じゃもう頑張らんでいいよな」って思いました。 それから事務補助の仕事を4年半したあと、手に職をつけるために鳥居寮に通うようになって、たまたま京視協の求人を見つけ、記念受験のつもりが合格して今に至ります。 |
M | 最後の最後まで白杖に抵抗がありました。でも「きららの会」という同年代の視覚障害の人々のサークルに参加したときに、皆が当たり前のように白杖を持って行動範囲を広げたり、やりたいことをしている姿を見て、持ってみるか、という感じで。皆が持っていたおかげで抵抗は少なかったですね。セガワスリムという細い白杖が自分にしっくりきて愛用しています。軽くて細くて丈夫なのでおすすめです。 |
O | わたしも隠してばかりいましたね。眼科に行って検査をするのが本当に嫌で、検査終わりにお母さんから貰えるジョアだけを楽しみに頑張っていました(笑)。中学生の頃には視野欠損が始まって、黒板の字は見えず、球技もうまくできなくて。中学2年生で眼圧が通常の3倍ほどになり、このままでは1週間で失明すると言われ、やっと手術をしました。高校でノートに書いた自分の字が見えなくなって、皆にばれないように隠しながらルーペで見ていましたね。とにかく先生の言葉や板書をノートに写すフリをしていました。「わたしは見えています」っていうフリですよね。 |
O | 吹奏楽部だったんですが、楽譜が見えなかったので家で必死に暗譜しました。先生の指揮も細かい動きが全然わからなかったので、友達に演奏の始まるタイミングを教えてもらっていました。 わたしも最初、視力もあるし手帳に該当しないと思っていたんですが、大学の時、眼科の先生に手帳を持ってないと伝えると、「それはあかんわ!」と言われまして(笑)。手帳を持つことは自他ともに障害があると認めることになるから、心情の変化とかあるんだろうなと思っていたんですが、急いで申請したので特に何事もなく手帳を持ちましたね(笑)。ちなみにわたしも2級でした。 |
(第三弾へ続く) |