パラリンピックに思う
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朝夕も涼しくなり、過ごしやすい日が増えてきた。ついこの間までオリンピックとパラリンピックがあったよな?と思いながらも、もう次の国民スポーツ大会へと繋がっている。
それにしても、オリンピックに比べてパラリンピックは放送がかなり限定的だったのが残念だった。7時間という時差もあり、放送時間はたいてい夜中。見たさのあまり、座って見ていたつもりがいつの間にか仰向けになって目を閉じている。ハッと目覚めたときは、見たかった試合が半分ぐらい終わっていたり、すでに決着がついた後ということもしばしば。3年前、パリの人もそんな思いだったのだろうか…。
一方、会場の観客はどの種目も満員。新型コロナの影響で無観客だった東京大会に対し、今大会はみんなが、会場で応援できることを心待ちにしていた様子がありありとわかった。
エッフェル塔に見守られる会場のブラインドサッカー。大会終盤、男子決勝は開催国・フランス対アルゼンチンで、PK戦までもつれこむ展開。PK戦も3本中の3本目で先攻・アルゼンチンのシュートを止め、後攻のフランスがゴールを決めて初優勝を飾ったが、チームの技術力と精神力はもちろんのこと、大観衆の熱狂的な声援もプレーの後押しになったことだろう(ちなみにフランスの選手には弁護士さんもおり、時短勤務で練習に充てていたとのこと)。
また、印象的だったのは日本代表の礼儀正しさ。柔道は武道だから丁寧にお辞儀をするのかと思っていたが、別の日に放送されていた競泳もそうだった(失礼)。入場の際、他国の選手はただ会場を一瞥したり、高ぶる気持ちを抑えきれない選手もいた中、私が見た時の日本代表はペコリとお辞儀をしていた。レース前は精神統一も大変だとは思うが、そこはそもそもの国民性なのか、本人の資質か。いずれにせよ清々しく、誇らしく思えた。
さて、日本競泳チームのひとり、閉会式の旗手も務められた木村敬一選手の著作「壁を超えるマインドセット」は点字で所蔵しています。すでにお読みいただいた方はもう一度、まだお読みでない方は改めて、金メダリストの足跡を辿ってみてはいかがでしょう。
(はなのぼう10月号より)