とある事情から、36年前の「図書館だより」を紐解きました。当時、京都ライトハウス点字図書館がボランティアさんに向けて発行していた機関紙です。そこで、こんな書籍が紹介されていました。

赤坂一著「盲先覚者伝記シリーズ5 鳥居篤治郎 ―世界に眼を・永遠の青年―」 日本盲人福祉研究会、1988年1月15日発行

シリーズの最後を飾るのは京都ライトハウスの創設者であり、京都市の名誉市民にもなられた故鳥居篤治郎初代館長。鳥居氏の人となりや業績が綴られたこの伝記は、京都府立盲学校でも要職を務められ、盲学校時代から生涯にわたって鳥居氏および鳥居家とともに歩まれた赤阪一氏により執筆されました。鳥居氏の著書「すてびやく」同様、私たちの活動の指針にもなり、心の糧ともなると信じます。
なお、鳥居氏の生年月日は明治27(1894)年8月12日。生誕130周年を迎えた年に、この書籍に引き合わせてもらったことに運命を感じました(あるいは「しっかりせえよ」という意味合いで引き合わせてくれたのかも)。130周年を記念し、当館では点字で製作を始めたところです。

ちなみに70年前(昭和29・1954年)の7月下旬、鳥居氏はパリでの世界点字楽譜統一会議に出席されていました。今、そのパリの地では人間育成と世界平和を究極の目的としたスポーツの祭典が開かれています。ジャンルは全く違えども、改めて世界での鳥居氏の働きを感じずにはいられません。
(はなのぼう8月号より)