色に出にけり我が恋は ものや思うと人の問うまで

百人一首の中でも人気のある歌です。詠み人は平兼盛。女性と比べて男の方が、恋愛沙汰に限らず秘密というものを隠し通すことができず、浮ついたり落ち込んだりと分かりやすいのは、昔も今も変わらないようです。

百人一首と称される秀歌撰は数々ありますが、一般的には小倉百人一首を指します。これは宇都宮頼綱が京都・小倉山に建てた山荘の襖を和歌の色紙で飾るために藤原定家に選ばせたもので、もともとは「小倉山荘色紙和歌」とよばれていました。

百首は古今和歌集をはじめとする十の勅撰和歌集から選定されたことから、三十六歌仙のほとんどのメンバーや当代きっての歌人達のベストアルバムとなり、時代を超えて読み継がれ、またカルタなどでも親しまれるなど、我が国の文化を象徴する一つとなっています。

この百首をもっと楽しんで頂こうと情報製作センターでは従来の製品に加えて、新たな図書やグッズの販売を9月から開始しました。詳しくは出版図書ニュース138号でご案内しています。そして情報ステーションでは11月、百首の聖地・小倉山の麓をめぐる「ほっこり散策」を開催します。(詳細は本号にてご案内)

この秋は、百首の世界に浸ってみましょうか

(五十嵐 幸夫)