最近は、鳥居寮の訓練生もロービジョンの方が多くなっているとか、地域の学校に通う視覚障害児も弱視児がたいへん多いと聞いています。

このように、少し見える方が多くなっている中で、視覚障害者情報提供施設として点字図書や録音図書の貸出だけでなく、新たな役割が求められているように思っています。しかし、ライトハウスには拡大図書もほとんどなく、拡大読書機を使って読書ができる図書もなく、拡大図書の貸出も郵送料がかかるなど、いくつもの課題が横たわっています。

京都には「点友会」という歴史の長いボランティアグループがあり、拡大教科書や拡大図書を作っておられます。先だって、拡大図書の貸出等について盲学校や特別支援学校、弱視学級を対象にアンケート調査をされたところ、貸出の希望がたくさん寄せられたそうです。また、ライトハウスにも、読書は録音図書や拡大読書機でなく本で読みたいという声も寄せられており、公共図書館との連携で新たなサービスに取り組めないか考えているところです。

また、視覚障害者情報提供施設では、次世代のデイジー図書といわれるテキストデイジーやマルチメディアデイジーなどの製作が始まっています。これらの図書は、視覚障害児者だけでなく学習障害児者にも有効な場合があるようで、新たな媒体として注目されています。ちなみに学習障害児の割合は5%ほどだそうで、仮に15歳以下の人口を1700万人とした場合、なんと85万人にも達することになります。

すでに学習障害児に対して教科書等の製作が始められており、効果が上がっているようです。そうした児童へのサービスも、公共図書館と連携して行えたらと思っています。また、7月には公共図書館との連携を探るアンケートも実施しましたので、それらも踏まえて一歩一歩前に進んでいけたらと思っています。

(田中 正和)