視覚障害者情報提供施設では、館間協力や情報のデジタル化とサピエによるネットワークで、利用者サービスが大きく前進しました。しかし、新たに手帳を取得された方への情報提供が不十分であったり、目が見えにくくてもライトハウスをご存じない方も多いようで、支援を必要とする方に必ずしも関われていない状況です。また、拡大図書の貸出を希望されるロービジョンや読字障害の方等からのデイジー図書の貸出ニーズも広がりつつあり、新たな対応が求められています。

 そのため、情報ステーションの啓発パンフレット(拡大文字版と音声版)を作成し、行政窓口や公共図書館等に置いていただいて、ライトハウスが提供する様々なサービスにつなげて行きたいと考えています。

 また、新たな対応が求められている拡大図書の貸出や読字障害者等へのデイジー図書の貸出は、どちらも郵便法上は有料となるため、利用の大きな妨げとなっています。無料化の要望は国等に上げられていますが、道のりは険しそうです。それに、補助金が削られたり指定管理者制度による委託費の抑制などで施設の体力も落ちてきており、なかなか馬力がかからない状況です。

 しかし、様々な期待や要望に応えて来たからこそ、今日の情報提供施設の基盤が確立されたのではないかと思います。拡大図書を利用したい方や読字障害等の学習障害の方は大勢おられるようで、日本でも3%とも5%とも言われていますし、欧米では10%前後とも言われています。

 情報ステーションとしてはこうした新たなニーズに応えるため、公共図書館へのアンケートを実施し、館間協力や連携を強化して新たなサービスに取り組んで行きたいと考えています。また、情報の即時提供と読字障害にも有効とされるテキストデイジーの製作にも取り組んで行きます。(田中 正和)