はなのぼう 2009年11月20日号
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 いま、静かな車が危ない、と、内外の視覚障害者が声をあげています。その声が国土交通省を動かし、静かすぎる自動車にエンジン音に似た音を発する装置を付ける方向へ動き出し、12月4日まで意見募集されます。

 電気自動車は、地球温暖化への懸念が拡がる中、景気回復の立役者としても、モーターショーで最も注目される存在になっています。

火力発電所の電力を使ったとしても排出される炭酸ガス排出量は一桁も低くなります。ガソリンエンジンとモーターの両方を使いわけるハイブリッド車でも4割減になると言われています。しかし、街の中では、後ろからくる自動車に気が付かずに危ない思いをする視覚障害者が増えてきました。目の見える人でも、後ろからくる自動車に気がつきにくい危険性が指摘されています。

 さる8月5日には、東京都調布市の交通安全環境研究所で、視覚障害者がハイブリッド車の音を聞き比べる体験会が国交省主催で実施され、多くの視覚障害者が参加しました。耳をそばだてていたにもかかわらず、すぐ横をゆっくりと走る車が分からずに恐怖を感じたという声が多く寄せられていました。

「静かすぎる危険」については欧米でも検討が始まっていますが、日本のように、狭い生活道路を車が通り抜けるのが当たり前となっている国ではよけいに危険です。

 今回の対策案では、モーターだけで時速20km以下で走る場合に自動的に音が出る装置を新車に義務づけ、既に使用している車向けに後付け可能な装置の開発も進めるとしています。音は、チャイムなどでは分からないとの指摘を受けて、エンジン音に似た音など「走っている車」を連想させる音としています。ただし、運転手が一時的に音を消すことも可能としており、義務化までには1年あまりはかかる見込みです。

 今回答申された国土交通省の検討委員会の結論について、11月5日から12月4日まで、意見募集されています。(加藤俊和)