はなのぼう 2009年01月20日号
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 いまは不況とはいえ、今のテレビは、2年半後に見られなくなるので、寿命が近づいたり古くなったテレビの買い換えは地デジ対応でと、家電業界は活発に動き始めているようです。そこで、先日、視覚障害の職員とともに大手家電量販店に行き、地デジへの対応を見て聞いてきました。その結果は…、2011年7月25日の朝を迎えたとき、多くの視覚障害者は、テレビを見たりFMラジオでテレビを聞くことが一斉にできなくなり、テレビが生活から消えてしまう、が現実のものとなってきた感じでした。

 「視覚障害者にも使えるリモコンを」「障害者にもチューナーを」の要望は、1年ほど前から、ようやく強く

出されるようになってきました。そして今は1社のみですが、三菱電機の「しゃべるテレビ」という機能が、不十分ながら唯一対応しています。でも、リモコンには操作ボタンがあふれ、晴眼者でもさっぱり分からないほどで、視覚障害者の操作の大変さは現在の比ではありません。そして他社にはまったく何もない、これが現状でした。

 一方、現在のテレビを地デジでも見られるようにするチューナーは、障害者にも配布されそうになってきました。しかし、今回新たに分かったことは、チューナーについても、晴眼者なら一応はなんとか見ることができそうですが、視覚障害者は線が1本外れただけでも分からなくなってしまうだろうと言われました。また、3万円のワンセグラジオがFMラジオの代わりと言われているのですが、現在の画面を見ながらセッティングすることが不可欠で、そのままでは視覚障害者は使用できませんでした。

 買い換えには、普及型の32型でも10万円近い価格で、録画するにはさらに10数万円も必要です。(なお、三菱製品では録画もなんとか音声でできることは確認しましたが、設置後に「よくわかった担当者」にセッティングをしてもらう必要があります。)そして、アンテナについても新規設置だと7万円以上かかりそうで、相当な出費になってしまいます。

 視覚障害者も3分の2以上が利用しているテレビ文化、取り残される人が出ないように、早急に力強い取り組みが必要です。(加藤俊和)