はなのぼう 2008年03月20日号
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 3月8日、京都で「国際シンボルセミナー」が開かれ、参加しました。この「シンボル」の一部に弱視の見え方が関わっていたからです。

 知的障害児や聴覚障害児の情報伝達手段として活用が拡がってきている「コミュニケーションシンボル」についての、日本では珍しいセミナーであり、会場は烏丸御池のマンガミュージアムでした。全国でもここだけという京都精華大学のマンガ学部とともに、京都は、今では全国のマンガ文化のメッカとも称されています。

 さて、このPICと呼ばれるシンボルの日本の第一人者は向日が丘養護学校教諭の藤澤和子先生です。この日は、関東や中国四国からも来られて、参加者は80名余り、養護学校やろう学校の教諭はもちろん、大学の研究者、デザインの専門家などの多様な方々が集まっておられました。

 経済産業省の主導で、2005年3月にこのシンボルのJISが制定され、さまざまな公共施設にもこれらのマークをそのまま付けよう、ということが含まれていました。

でも、弱視者への配慮という観点はほぼなかったのでした。今回来られた、世界のPICシンボルの開発者であるカナダのマハラジ氏が、基調講演の中で、視力の弱い人たちのために基本は黒地に白となっています、と言われたのだけが救いでした。

 ところが日本では、弱視者の見えやすさの立場の関係者がこのシンボルにはまったく関与しておりません。日本版PICシンボルは1700種類あり、そのうちJISの参考として掲載されたのは300です。公共トイレの男女の違いを表すシンボルマークなどもこのJISに置き換えられつつありますが、弱視の立場からは、もっと配慮してほしかったという部分がありました。

JISは、本来は3年で見直しが可能となっていますので、公共施設に設置される部分だけでも、取り残されがちな弱視関係者の意見が反映されるべきだと思っています。 (加藤俊和)