はなのぼう 2006年7月20日号
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「はなのぼう 5月号」で、自立支援法では「コミュニケーション支援」の例示に視覚障害が入っていない、とお伝えしておりましたが、6月26日の課長会議で出された資料で「視覚障害」の文言が入りました。地域生活支援事業の実施要綱の中で、「聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため、…」としかなっていなかったのですが、「…音声機能、視覚その他の障害のため、…」となり、事業内容にも、手話通訳などの事業のほかに「点訳、音訳等による支援事業」が追加されたのでした。4月の厚労省折衝では無理と思われていましたが、京都からも強力に働きかけてきただけにうれしく思っています。

その中身を私は次の二つと考えています。

講演会や研修会などの資料を点訳・音訳・データで用意することはもちろんですが、最近はパワーポイントというソフトを使ったビジュアルな説明が多く、視覚障害者にはさっぱり分からないことが増えています。視覚障害者の横で追加説明をしてもらったり、盲ろう者の補償ではよく使われている、ブリスタという点字タイプライターによる補償もたいへん有効です。

一方、在宅重視と言いながら、視覚障害者が近所からの回覧物や手紙などの補償については、これまで不十分きわまりない状況でした。例えば、昨秋の京都新聞の投書欄での質問に、京都市の介護保険課長が「ホームヘルパーの業務に代筆は入っていません」と明確に応えています。また、このようなことが各地で起こっているらしいことも耳にしています。実は、平成9年に厚生省から出された事務連絡では、「視覚障害者に対する家事援助には以下のようなサービスも考えられます … コミュニケーション介助:郵便物・回覧板等の代読、手紙・アンケート等の代筆」とされているのです。この事務連絡については、今年の6月の自治労全国福祉集会での質問に対して、厚生労働省担当官は後日「今回の自立支援法施行後においても取扱いに変更なし」と回答していますので、各自治体への働きかけが早急に必要です。

いずれにしても視覚障害者への情報補償が片手間でよいはずはありません。はっきりとした制度に乗せるための早急な取り組みが、いま求められているといえるでしょう。