さて昨年末、島根県松江市に友人数人と訪れることになり、かつて偶然立ち寄り、思いもかけず宍道湖の味覚を楽しませてもらった小さな居酒屋さんに宴席予約の電話を入れたときのことです。

女将さんが応対に出られ「〇日に予約をお願いしたい」と伝えると、「娘の出産が迫っていて、その日は休ませてもらいたい」と申し訳なさそうな返事。「え〜残念。じゃまたの機会に」といって電話を切ったのですが、その途端、猛烈な悔恨におそわれました。

娘さんの出産という、ご本人にとってもご家族にとってもこの上ないよろこびをお聞きしながら「おめでとうございます」の一言も言えず「え〜残念」と口走ってしまった自分の余裕のなさというか、咄嗟に気の利いた言葉も出ない未熟さが、途方もなく情けなく感じたからです。

「大器は晩成する」という名言の本来の意味は『人はいくつになっても大人になれない』とか。

相手を思いやる即妙な言葉が出るのはやはり持って生まれた優しい性格なのか、あいにくそれを持ち合わせていない者としてはやはり場数を踏んで会得するしかないのか、そしてこの先も同じようなことを繰り返していくのかと思うと、この二千数百年前の老子の教えが身にしみた年の瀬でした。

情報ステーションでは、職員一人一人が情報提供のプロとして日々研鑽に努めておりますが、それでもサービスに不満を持たれることもおありかと存じます。

ただ、多くの利用者をお迎えする公的な施設が機能を最大限発揮するには、職員とご利用の方とのパートナーシップが欠かせません。

職員一同一歩でも大人に近づくこと、そしてご利用の皆さま方の大人ぶりをいただくことで、さらに満足度の高い情報ステーションをつくりあげたいと考えております。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(五十嵐 幸夫)