旅立ち

   3月。この時期は卒業シーズンです。この後の「情報ステーションから」では、卒業をテーマに、サービス担当職員が厳選した図書をご紹介しています。そちらもどうぞ、お読みください。

 昨年末、娘の高校の同窓会があった。社会人になる人、大学院進学等、研究を続ける人。進路はいろいろだが、ひとつの節目を迎える時期ということで開催されたようだ。出席者数は、なんと同期生の約4分の3! 同学年の他校の友人に尋ねると、そこまでの出席者数はなく、良くて半分、下手をすると半分以下とのこと。それはそれで寂しい。
 高校時代を振り返るクイズ大会では、全員が真剣に考える。超難問でも、とりあえず答えがひらめけば躊躇することなく挙手。正解ならもちろん賞賛、しかし不正解でも決して解答者を茶化すことや、冷やかすことはない。それどころか「ちゃうのか、ほな、何や…?」と再び考え出す元生徒たち。
 思えば「『知らない』ことは恥ずかしいことではない」「意見は出して当たり前」「違う意見こそウェルカム」「自由には責任が伴う」「お互いを尊重」「発言には配慮を」という土壌があるから、みんなそれぞれ、思うことを発言できるのかもしれない。

 さて、娘も来月から新社会人の一人となる。ご縁をいただき、私と同じ福祉の道でお世話になるが、この業界で特に大切なのはコミュニケーション。常日頃、周りからも「挨拶は明るくハキハキと」「自分から名乗ってとにかく覚えてもらえ」「感謝は言葉で、謙虚は態度で」「腑に落ちひんこともあるかもしれんけど、そこは我慢」「表で言えへんことは裏で言うな」「上司の言うことは『はい』か『YES』か『喜んで』や」などなど。…だんだん激しいアドバイスになってくるが、そこはうまく取捨選択、良い塩梅で捉えてもらうとしよう。
 進学、就職、新たなステージへ旅立たれる方みんなの、前途を祝して。

(はなのぼう3月号より)